【体験談】就労継続支援A型事業所を利用してみて

なぜ、就労継続支援A型?なぜ、ほまれの家横浜?

神奈川県横浜市の就労継続支援A型事業所「ほまれの家横浜」をメンバーとして利用しているイッシーと申します。2021年4月に当事業所での就労を開始し、7か月が経ちました。

まずは、私が就労継続支援A型事業所を利用しようと思った経緯からお話ししたいと思います。新卒で就職した会社では、6年間障害者雇用枠で働いていましたが、繁忙期を中心にけっこうな業務量で過労気味になり、一昨年に退職。その後、2つの職場を渡り歩くも、仕事の内容が自分自身にマッチせず、すっかり自信をなくしてしまいます。

なぜ、2年ほどの短期間で同じ失敗を繰り返してしまったのか。原因はひとつではないですが、「自分が本当にやりたい仕事が何なのかが明確になっていなかった」というのは大きかったなと感じていました。

じっくり先のことを考えたいけれど、無職の期間が長く続くと経済的にも精神的にも厳しいので、最低限のお給料をもらいながら、これからどうするかを考えていこう。そんな思いで、就労継続支援A型の求人を探し始めました。

ただ、私は手先が器用ではなく、作業系の仕事は基本苦手。今までやってきた仕事でも、自分が貢献できたと感じるのは、パソコンを使うものばかりでした。一方で、ちゃんと割合とかを調べたわけではないのですが、ハローワークの求人を見ていると、A型ってパソコンを使う仕事をやっているところは相対的に少ないなという印象。

そんな中、たまたま見つけたのが、これから開所しようとしている「ほまれの家横浜」の求人でした。仕事の内容はデータ入力で、パソコンがメインであることは明らか。うまくいけば、最初の職場で身につけたExcelの関数とかの知識で作業の効率化を提案できたりもするかな、と思って応募を決めました。

面接でお会いしたのは、運営会社の社長と、見学のときにもろもろ説明してくれた事業所のスタッフ。

私の特性やこれまでの経歴から、将来どんな仕事に就くべきかを真剣に考えてくださった点と、社長がこれから開設する事業所なので、こういうことをやりたいとか、アイデアがあったらどんどん教えてくださいといったお話をしてくださった点が印象的でした。

当時の私は、失敗続きで意気消沈していて、高いモチベーションを持てるような状況ではなかったのですが、ここならば視界が開けていくかもしれないという予感がしました。

選考を受ける立場であるものの、私自身もこの事業所を選び、ぜひここで働きたいと思えたのです。

今、ほまれの家横浜で働いて感じていること

実際に働き始めて、1~2か月。最初はデータ入力だけだったのですが、メンバーが増えるにつれ、業務の種類も増えていきました。

当事業所では今、会計・Web・デザイン(ロゴ・名刺)・営業・Excelの5チームでお仕事をしています。A型事業所は、とりあえず働ければいいやぐらいの気持ちで来ている人が多いのかなと勝手な先入観を持っていたのですが、当事業所には様々な資格を持っている人や、意欲的に仕事に取り組み、将来を見据えてスキルアップに余念がない人が多く、日々いい刺激を受けています。

むしろ、私こそが当初「とりあえず」という中途半端な思いで働き始めた人間なのですが、半年以上たった今では、だいぶ意識が変わってきています。この2年間、私が複数の仕事を短期間でやめてしまった理由のひとつが、自分が本当にやりたい仕事が何なのかが明確になっていなかったことと前に書きましたが、そのことも踏まえて、自分がやりたい仕事や強みをしっかりと認識し、これまでの仕事で身につけてきたものをベースに、さらにスキルアップをして、先につなげていきたいという思いが強くなりました。

また、前に働いていた職場では、私自身だけでなく周囲の障害者雇用の人たちも含めて、「障害者だから」という理由で任せてもらえる仕事が限定されているんじゃないか、そもそも最初から戦力としては期待されていないんじゃないかと感じてしまうことが残念ながらあったのですが、当事業所では全くそんなことはなく、運営会社の社長もスタッフの方々も、日々の課題をこなすだけでなく、自分たちで考えて、チャレンジしていける環境を作ってくださっています。

ところで、私が当事業所で何をしているかというと、おもにWeb制作とExcelを使った業務効率化のためのツールの作成です。

Webは、本当の経験ゼロからスタートして、まだWordPressを使えば簡単なWebページを作れる程度、HTMLはちょっとかじった程度ですが、先日投稿したオッサーをはじめ、チームとしてのレベルも上がってきており、その一員として活動できることにやりがいを感じているので、今後も続けていきたいです。

Excelは、関数に加え、最近VBA(マクロ)を本格的に始めて、まだまだ初心者であるものの、実務で使えるものを作れるレベルになりつつあるので、さらなるスキルアップを目指しています。

学生時代に簿記をやっていましたが、会計の仕事は全くやったことがないので、こちらもこれから経験してみたいと思っています。

私は、対人関係を含めて苦手なことが多く、不安を完全に払拭するのは、なかなか難しいと思います。そうした中でも、いろいろな業務を経験しスキルアップして、器用貧乏になるのではなく、本当にやりたいことは何かを見定めて、自分はこれなら勝負できると自信を持って言えることを作って、将来につなげていくことが今の目標です。

最後に

ずいぶんと個人的な話を延々としてしまった感がありますが…最後に、障害者と就労について、私が思うところを書いておきたいと思います。あくまで私の個人的な考えであり、当事業所が組織として発信するものではないことをご承知おきください。

就労継続支援A型事業所は、様々なバックグランドや価値観を持った利用者のニーズに応える場であってほしいと考えています。まずは、生計を立てるために一生懸命働く意思のある一人でも多くの人に労働の機会を提供してほしい。そして、希望する人すべての人が、一般就労できるようになってほしいと思います。

スキルアップ、スキルアップとしつこく書いてしまいましたが、利用者目線で言えば、ちゃんと雇用契約を結んで、お給料をもらって働くわけですから、職業訓練をする場所ではありません。目の前の仕事で貢献しつつ、自身の将来につなげていくことが大事と思います。

法定雇用率や助成金等、障害者雇用にそれ自体が目的化してしまう側面があることも否めないとは思いますが、一人でも多くの障害をお持ちの方が、自身の特性や得意分野を生かして就労できることを願っています。

※障害者雇用について詳しく知りたい方はこちら(厚生労働省公式サイト)

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※このブログは、神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所ほまれの家横浜」のイッシーが執筆しました。