世界初の職業訓練は江戸時代! 鍼灸と視覚障がい者の深い関係

こんにちは、ほまれの家横浜のココアです。
皆さんは障がい者向けの職業訓練施設が世界で初めて出来たのが日本であることはご存じでしょうか。
また、その施設を開設した人物が、ここ、神奈川県にゆかりのある人物であることも。
今回はその障がい者向けの職業訓練施設のお話と、その創設者についてお話したいと思います。
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その職業訓練施設の名称は「杉山流鍼治導引稽古所」と言います。
視覚障がい者向けの教育施設で、1682年に開設されました。
創設者は杉山和一という人物で自身も視覚障がい者でした。
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この施設は「鍼治」と名称にある通り、鍼治療の訓練を行う場所でした。

(いらすとやから転載しました)
現代ではこのような、透明の筒に鍼が入った形式の鍼が一般的に広く使われています。
実際に治療を経験したことのある人も多く居るのではないでしょうか。
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この、筒に鍼を入れ、鍼を体に刺す時のガイドとする刺し方を発案したのが先に述べた杉山和一です。
それまでの鍼治療は、鍼を親指と人差し指で掴み、素早く刺す撚鍼法や小さな槌を使って五寸釘のような太い鍼を刺す打鍼術などが主流でした。
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江戸に上がってきて鍼師に弟子入りした杉山和一は、残念ながら物覚えの悪さや技術が向上しないことを理由に破門されてしまいました。
破門された後、杉山和一は芸能と盲人の神とされている江の島弁財天の元で断食して修行を行いました。
その帰り道、石に躓いた杉山和一の手に松の葉と竹の筒が当たり、その経験から杉山和一は先に述べた細い鍼を筒に通して打つ方法、管鍼術の着想を得たと言われています。
その後、再度別の鍼師に弟子入りした杉山和一は修行を終え、江戸にて開業をしました。
杉山和一が開業した診療所は評判で、時の将軍、徳川綱吉から治療を依頼されるほどでした。
治療のお礼にと、将軍から賜った土地にて開業されたのが、「杉山流鍼治導引稽古所」です。
1682年のことでした。
これはヨーロッパにて視覚障がい者向けの特別教育が開始される1784年よりも100年も早かったのです。
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この施設の開設により、鍼灸の治療は視覚障がい者の仕事として広く知られるようになっていきました。
また、それまでは患部を見て治療していた鍼治療は触って患部に刺すという治療へと変遷していき、現代にまで伝わっています。
また、杉山和一が修行を行った、江の島弁財天は鍼灸師の聖地とされ、毎年鍼灸師の国家試験の前には鍼を供えに来る受験者が多く居るとのことです。
一度破門されても鍼師への道を諦めず、鍼師の道を究め、現代に通ずる新たな治療法を編み出しただけでなく、多くの視覚障がい者へ教育普及を行った杉山和一の自分に出来ることを追及する心、そして諦めない心は見習いたいものです。
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※このブログは、神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所「ほまれの家横浜」のココアが執筆しました











