障害者事業所の支援者から利用者へ立場が変わってみて

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。デザインチームのSです。

今回は就労継続支援A型事業所を利用する身として、最近感じることを昔の体験を交えながら綴ってみたいと思います。

支援者から利用者に立場が変わった経緯

実は自分、以前は横浜の身体・知的障害者向け施設のパート職員として、約4年間勤務をしておりました。 

小学生の頃父親が交通事故で重度身障者となり、いわゆるヤングケアラーとして10代半ばに通信講座でホームヘルパー2級資格を取得しました。

当初はそれを仕事にする気は全くなく、父の介護をしながら製鉄工場の3交代勤務や派遣登録の仕事を転々としたのち最終的にたどり着いたのが身体・知的障害者向け施設のパート勤務でした。 

当初は「介護スキルならば、父親の介護をおこなっていた子供の頃からの蓄積で普通の人よりも高いはず」と自分を過信して職に着いたものの、いざ勤めはじめてみると様々な特定と障害を持つ利用者さんへの対応に疲弊する毎日でした。

その結果、だんだんと自分自身の精神を病み始めるようになってしまい、結局離職。

色々なめぐりあわせから現在は、かつての支援者から障害の利用者へと、立場が逆転して今日に至ります。

障害者施設の職員とは

これはあくまでも私の私見なのですが・・・

障害者施設の職員というのは利用者に寄り添いつつも、一般常識に照らし合わせて中立の立場で行動しなければいけない局面が多いように感じます。

問題行動の多い利用者でも、その根底にあるのは先天的・後天的障害や成育歴から自身が身に着けた、その人なりの処世術でもあります。

それを無視・否定した支援は支援者の独りよがりに陥ってしまいかねず、そこで逡巡する過程で、利用者と世間的価値観の双方からサンドバック状態になり、やがて潰れてしまう人がとても多い職種のように感じています。

また、日本の福祉の現場では、そうした葛藤は支援者の自己解決に委ねるしか現状は方法がなく、そうしたスキルを身に着けるのが支援者としての能力の高さと評価される向きが多いとも感じます。

けれども支援者もまたそれぞれの生活を抱えたひとりの人間で、個人の心の処理能力には限界があるように、私は思います。

支援員にもケアが必要

昔と比べれば、障害者施設利用者へのケアというのはだいぶ選択肢や場所が広がってきて、現に自分もこうして就労継続支援A型ほまれの家横浜にお世話になりつつ生活をしています。

それをふまえて思うのは、今の時代は支援員の精神面、経済的生活をケアする公的システムの整備やセラピーが必要ではないか? という事です。

どんなに高い志を持って支援に臨んでも、不規則な仕事時間や仕事量のキャパオーバー、低く据え置かれた賃金労働が常態化して支援者のメンタルや生活が荒んでしまっては、良質な福祉の提供なんて望むべくもなく、結果的には利用者にも不幸な結果が待っています。

障害者や健常者を問わず、人間は経済面・精神面・健康面の三つが充足して初めて、余裕のある生活が成り立ちます。

そこから目をそむけて個人の良心やヒューマニズムだけを立脚点にして、福祉のモチベーションを継続させていくのは、自分には絶対に不可能で、そこを補う公的システムを作り、現場の意見を第一に採り上げて福祉職の社会的保証を拡充していくのが求められている。と自分は考えます。

支援者が、経済面・精神面・健康面で生活の余裕を十分に蓄えて支援に臨むことができれば、その生活の余裕は利用者にも循環するはずです。

利用者がハードルなく良質な福祉の助けを借りられるようになれば、支援者利用者相互の、経済面・精神面・健康面での生活の余裕の循環は、社会全体に潤いをもたらすことに繋がる。と自分は確信しております。

生活の糧を得るための場所

もう一つ利用者としての立場から思うのは、就労継続支援事業所に通所することを職業訓練とみなさず、生活の糧を得るための場所と認識や制度を改めてほしい、ということです。

障害者雇用は、このコロナ禍でもとから厳しかった雇用状況が一層狭き門となり、就労移行事業所や就労継続支援事業所に通所する利用者は、誰もが先行きに不安を抱えています。

特に就労継続支援事業所は地元の企業様からの委託業務を請け負うウエイトが多く、そこで利用者は仕事と収入を得る生活です。

お金を頂戴して仕事を請け負う以上は、必然的にプロフェッショナルにならざるを得ません。

報酬を得る作業をするならば、これは事実上の職業であり、そこには大きな責任が発生します。

そこを職業訓練という名目に無理やり押し込めることはして欲しくなく、たとえフルタイム労働が無理な身ではあっても、今の自分が糧を得ている作業を一つの正業と認めてほしいと自分は願っています。

普段のブログとはかなり異質な内容になりましたが、以上が元福祉職としての過去と現在の自分の所感です。

次回は他のメンバーさんにバトンタッチします。
更新をお楽しみに!

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※このブログは、神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所ほまれの家横浜」のSが執筆しました。