14番目の月

初めに

こちらの作品は、神奈川県横浜市の就労継続支援A型事業所ほまれの家横浜」の利用者である、菜摘草司さんからの投稿作品です。

1.(さざなみ)
序章

移動性高気圧と低気圧が交互に来る、秋の季節。晴れと雨の日が繰り返される。
秋雨前線が日本列島を縦断するように停滞する。

この高気圧と低気圧が周期的に入れ替わることで、だんだん、気温が下がり晴れた日にはさわやかな秋晴れとなり、夏の暑さがひと段落する。

そんなとある晴天の日曜日、横浜の日本大通りの銀杏並木が黄色く色づき始める頃、今日の
主人公のひとりである、咲ちゃんが日本大通りのCaféに向かっている。

Caféにはガーデンテーブルが通りに面して設置しある。
Caféの前で止まり一つ深呼吸すると、テーブルに座っている、もう一人の主人公良くんの近くまでそろそろと近づくと、本を読んでいる良の後ろから、両手で目隠しをした。

「何、するんだよ!咲、何回同じことするんだよ。この前も同じことしただろ。」

「…………」

「黙ってないで、もう座りなさい!」

「ハーイ、わかりました。つまんないの!ぜんぜん、驚かないんだもん!」

咲が椅子に腰掛けると、良が言った。

「何にする?」

「私、今日はキャラメルマキアート、良は何にするの?」

「エスプレッソ。」

「同じのばっかし、よくあんなにがいの飲めるね!」

「うん。」

「あれ、今日は言い換えさないの? 私のこと、いじめないの? 拍子抜けしちゃう。本当にどうしたの?」

「何でもない。今考え事してるから、少し黙っていてくれないか!」

「わかりました。黙ってます。」

「…………」

「ずるい、喋りなさいよ!」

「…………」

そこへ、パートナーがお茶を運んできた。

2.(やさしさに包まれたなら)
プロポーズPart1.

日本大通りに夏のなごりを惜しむかのような秋風が吹き渡る。

午前10:00待ち合わせた、場所はガーデンテーブルのあるcafé。

咲は、やっと夏が終わって体調も良くなって、今日は元気に(いつも元気だが)待ち合わせのCaféに来たのに、良のそっけないそぶりに、何だかイラついて来た。

パートナーがお茶を置いて帰っていくと、咲はお茶を一口飲んで

「このキャラメルマキアート、すごく美味しい!甘さがほんのり、キャラメル濃厚。」

そう言って、良が何も言ってくれないので下を見ると、今まで気にしていなかった歩道に黄色い銀杏の葉が落ちているのを見て。

「良、毎年ここへ来るけど、なぜ秋が多いの?答えて、お願い!」

「ごめん、わかった。好きなんだこの季節、銀杏並木が黄色く色づいて葉が落ちて、歩道いっぱいに敷き詰められた、銀杏の葉のジュータン、ザクザクと音をたてて歩く。好きなんだ!」

「へー、そうなんだ! わかるような気がする。でも、私にはわかんないや!」

良、へこむ。

「さっきから、黙っていて、ごめん今日先を呼んだのは…………」

「あらたまって、何よ」

二人「…………」

「咲さん、僕と結婚してください。」

二人「…………」

「良、また私を騙しているの? そんなこと言われたって、信じないわよ! いつも、いじめてばかりで、いきなり優しくしないで!」

「好きなこと言わないで、私にはね今に白馬に乗った王子さが、寝ている私にキスをしてプロポーズしてくれるんだから! 良はただの友達! わかった?」

「それはないだろー! 一生に一度しか言わないセリフに、そんなに言わなくてもいいだろ! 咲のことが好きだし、真剣に愛したいから告白したのに、それはないだろ!」

「あっかんべーだ!愛したいって何よー!結局、私の体が目当てなんじゃなないの!!」

「あのなー! 言うに事欠いて、体が目当てとは、何だよ。そりゃ少し…………」

「あー! やっぱり、スケベ、エッチ、変態!」

「なんで、変態なんだよ!」

そこへ、パートナーが来た。

パートナー「お客様、他のお客様の迷惑になりますから。もう少し声のトーンを落としていただけませんか?」

「すみません、わかりました。」

良と咲のテーブルにみんなの視線がささっている。

「咲もう飲んだ? 山下公園まで少し散歩しない?」

「ごめん、良言いすぎました。でも、結婚は考えさせて。仲直りしよっ!」

二人は勘定を済ませて、山下公園に向かった。

3.(中央フリーウェイ)
ドライブ Part1.

あれから一ヶ月たち10月も終わろうとしている月が綺麗な夜。
夕食を終えて咲が自分の机に向かって、雑誌を広げているとスマホの着信が入った。

「もしもし咲、良だけど!」

「良君、なぁーに、またからかおうって魂胆。」

「あんなー、いつもいつもふざけている訳ではないだろう。」

「ごめんなさい、それはそうと今日は何よ!」

「あっ! 忘れてた、デートのお誘い。今度の日曜日、ドライブに行かないか?」

「ドライブ? 良君、免許持ってたっけ? あと、車も持ってたっけ。」

「やっと免許取れたんだ! 仮免、4回落ちちゃったよ!」

「車は、どうしたの?」

「レンタカーを借りるんだ。ちょっと贅沢に、TOYOTAアクアにしたんだ。」

「もう借りたの?」

「うん、咲行くと思って。」

「少し待っていて、今お母さんに聞いてくる!」

「うん」

(…………)

「もしもし、良君。お母さんが、気をつけていってらっしゃいって!」

「うん、人の命預かるから、気を入れて行くよ!」

「頼もしい。」

「あっ、そうそう日曜日の朝、3時に迎えに行くよ。」

「朝の3時ー! そんなに朝早くから行くの?」

「そう朝のドライブ。」

「お母さんびっくりするよ! 大丈夫なの?」

「大丈夫、それより咲、起きれるかい?」

「平気、私すっぴんだから、お化粧の時間いらないの!」

「まぁ、いいや! 今度の日曜日、午前3時に迎えに行く。」

「わかった、支度して待っている。」

4.(避暑地の出来事)
ドライブ Part2.

咲と良は、車に乗り横浜から横浜新道に入り。一路鎌倉へとバイパスを南下した。

1号線に入り、北鎌倉へと抜ける道に入る。
北鎌倉には、円覚寺、建長寺など有名な仏閣がひしめいている。

北鎌倉をすぎて鎌倉へと向かう。
そして、鎌倉の若宮大路の段葛の沿道を通り、まっすぐ行くと、由比ヶ浜にぶつかる。
由比ヶ浜は車の走っている、ちょうど前方に海が現れる。

眼前に広がる青空とダークブルーの海とのコントラストが美しい。
砂浜の砂は、白いとは言えないが遠浅の海岸が続く海辺には、テレビでも紹介されたが桜貝が採れることでも有名である。

そして、海沿いの134号線に入ると、稲村ヶ崎で朝陽が背後から上り、ほんのり夜が明ける。
七里が浜から見る朝の風景は、雄大で相模湾の上に江ノ島、富士山がくっきりと見える。

その景色を真正面に見ながら、車を走らせる。
腰越をすぎたあたりで、左手に江ノ島が見える。
江ノ島大橋を渡って駐車場に車をとめ休憩をとる。

「咲、疲れたかい? どう、朝早く起きて、良かっただろう。」

「そうね、途中まで寝てたけど、あの富士山を見た時は、感動したわ! やるわね良君!」

「咲のために、寝ないでコースを考えたんだ!」

「本当、ありがとう! でも、疲れた。まだ、お店やってないね?」

「そうだね、コンビニでコーヒーとサンドイッチでも食べるかい?」

「ずーと、走りっぱなしでぜんぜん話をしていないから、手を止めて話したいな!」

「じゃあ、江ノ島に公衆トイレもあるから、自動販売機でコーヒーを買って海を見ながら話そうか? 朝焼けも綺麗だし!」

「うん!」

二人は、車を降りて歩き出した。

5.(まちぶせ)
エリーとの再会

良と咲は、朝焼けを江ノ島で楽しんだ後、藤沢駅まで車を走らせ、駅から近い6階建ての駐車場に車を停めた。
二人は駅に隣接している商業ビルの一角にあるスターバックスコーヒーに行くことにした。
咲がスタバにして欲しいと頼んだからだったが、良は何だか前にも来たような感じがした。

「咲、何にする?」

「私、抹茶ラテとクラブハウスサンド。」

「俺はエスプレッソと、チーズケーキとクラブハウスサンド。」

「ずるい! チーズケーキ食べるの?」

「わかった、チーズケーキ二つ、それとさっき言ったやつ下さい。」

品物を受け取ると、これ4人掛けのテーブルに座って二人は顔を見合い、飲み物に口をつけた。

「ラテ、美味しいかい?」

「うん、初めて飲むけど、美味しい、良はいつも同じね。」

「好きなんだ、エスプレッソ、コクと苦味がいい!たまに喫茶店でも飲むけど、チョコレートがついてくるところもあるよ!」

「へー、そうなんだ!」

小1時間ばかり話をていると、横をワンピースを着た女性が通り過ぎた。
ちらっと見ると笑顔で会釈してこっちに近づいてきて二人の席の近くに立つと、良に向かって

エリー「お久しぶりですね」

と声をかけてきた。

「良、だれ、この女の人?」

「知らないよ! 人間違いしてるんだよ、こんな綺麗な人友達にもいないし。」

エリー「あらっ! 失礼ね、私のこと覚えてないの? 5年前、高校生の私を北鎌倉でナンパしたじゃない!」

「えっ! あっ! そうっ! えーー!」

「良、あなたはどうして、こんな若い子を……、どうするつもりだった!! 変態、どスケベ、今日はもう台無しじゃないの!!」

「なぜ、こうも言われなきゃならないんだ!」

エリー「あなたが、私を無視するからよ。ここ座ってもいい?」

エリーとの突然の再会に良は面食らっていると。

「良、私帰る。ここから横浜まで、電車あるでしょ!」

「ちょっと待てよ、咲!」

エリー「咲ちゃんて言うの。ごめんなさい、私エリー、咲ちゃん謝るから帰らないで!」

「えっ!」

エリーはセミロングのブラウンへヤーで麦わら帽を被り節目がちで良と会った経緯をとうとうと咲に喋り始めた。

5年前、北鎌倉に一人傷心旅行にきた時に良に出会ったこと。親切にしてくれたこと。
帰りはこの藤沢駅まで一緒に来て別れたこと、別れたとき電話番号も聞かなかったので連絡が取れなかったこと。そして、今日、偶然にここでまた出会ったこと。

咲は、何だかエリーの話を聞いているうちに、良に対しての嫉妬心がメラメラと体の中で燃え上がるのを感じた。

エリー「聞いてくれて、ありがとう! 良は変わってないね。私はこんなんなっちゃった。今、茅ヶ崎に一人で暮らしているの。良かったら今度二人で遊びに来て。」

エリー「これ、電話と住所、咲ちゃん、ごめんね、私帰る!」

「もっと居ても、良かったのに! ねえ、良久しぶりに会えたんでしょ!」

「エリー、ごめん、また連絡する。」

エリー「うん!」

良は、エリーの足元に目をやると、サンダルからはみ出た綺麗に塗られてある。
赤いマニュキュアを見た。

「またな!」

6.(ルージュの伝言)
咲燃える

この後、良と咲は、家路へと向かうのだが、咲は終始無言を貫き、良が喋りかけても返事もせず、ただ家に着いて車を降りる時、ドアを勢いよくバタンと閉めて帰ってしまった。
良は考えた、これは女難だ、そうだ明日横浜駅近くにある占いの部屋に聞きに行くことにした。

占い師「あなたは、女難の相がある。でも、この災難はあと数ヶ月で去るでしょう。あっ、あなたは……そう5年前私と出会っていること覚えている?」

「えっ! 誰ですか? あなたは…………」

占い師「あなた、あれから5年経ったけど別れた女の子には会ったの?」

「はい、会いました……」

占い師「わかったわ! これで話は終わり、私の名前は占い師のエル。覚えておいて!」

「わかりました。」

良は、頭を抱えてビルを出た。歩いて思い出した。

「(あっ! あの時の謎の女だ、5年前エリーと別れたあと藤沢のスタバでコーヒーを飲んでいると、通りがかりの見知らぬ女にエリーとまた会う)」

と言われたこと。

「そうか! 本当になったんだ!」

良は、帰ってから咲に電話した。

「もしもし、咲。昨日はごめん!」

「…………」

「もう、いい加減話をしようよ!」

「…………」

「咲の好きな、チュッパチャプス100本買ってあげようか?」

「えっ! 本当!」

「ずるい、甘いもので釣るなんて!」

「やっと喋った、疲れた。」

「本当に、エリーさんとは、何もなっかたの?」

「何にもないよ。エリーとは。」

「エリーだって、呼び捨てなんだ! エリーとは、と言うことは他の女の子にはあるんだ!」

「何にもないよ! 誓って、言います。私は潔癖です。」

「潔癖ですって、この前私の手握ろうとしたくせに!」

「…………」

「手を繋ぎたいなら、ちゃんと言いなさいよ!」

「僕と手を繋いで欲しい!」

「イヤだ、不潔な人とは、手を繋がない!」

「不潔だと!」

「そうよ! 不潔よ、知らない間に女の人と付き合うなんて、私と二股かけているんでしょ!」

「なんで……、なんで……、信じてくれないんだ!!」

ガチャ、ピーピーピーピー。

「あ〜あ! なんてこった!」

7.(天気雨)
エリー

エリーは、5年前良と別れたあと、学校にまた通うようになった。
そして、高校生活はなんとなく過ぎていった。

両親とはそんなに関係は悪くはないが、なぜかそんな両親が不満である。

高校生活最後の夏にエリーは考えた。
思い切って、一人暮らしをしてみようと。

エリーは湘南で大学を探した。
ちょうど茅ヶ崎に私立の4年制大学があることを知り、その大学を目指して勉強を始め、高校卒業の春には希望の大学へと通うことになった。

エリーは一人暮らしのことを両親に話したのだが、反対されてしまった。

どうして自宅から電車で通えるのに一人暮らしなのか?と言われたが、エリーは根気よく自分の気持ちと通学の便利さを説明した。

ようやく3月の半ばには両親の許可を得て、一人暮らしを始めることになった。

エリーは海の近くにアパートを借り、大学に通った。

時々、海に行ってボンヤリしたり、近所のサーフショップに洋服を買いに行った。
そのうち、サーファーの彼氏ができ、誰が見ても湘南のサーファーガールになった。

そして、大学3年のそろそろ秋も深まろうとしている10月の終わり。
藤沢まで買い物に行った帰りにスタバに寄って、偶然、良とまた再開したのだった。
エリーは始めはちょっとからかおうと思っただけだったのだが、何だかこんな可愛い女の子を連れている良を見て、この子から良を取ってやろういう気持ちになってしまった。
あの時の悔しさが頭によぎるのだった。

エリーは、独り言を言った。

エリー「良君か…………」

8.(晩夏)ひとりの季節)
良の浮気

咲ちゃんに、言われたい放題言われて良は半分やけになっていた。
良はなぜか、エリーのことが気になり始め、エリーのこの5年間を聞きたくなってきた。
ここまで、変わったエリーを見てからだ。

良は、咲よりエリーのことが気になり、高校生のエリーが急に大人びたこと?
自分は、ぜんぜん変わっていない。
何が、エリーにあったのだろう?

良は、全部自分のせいだとは思っていない。
急に、エリーに会いたくなってきた。

この前、偶然出会った時にメモを渡されて財布にしまったのを思い出した。
開いてみると、住所と電話番号が書いてあった。
思い切って、電話をかけようとしたが咲のことが一瞬頭をよぎる。

「いいや! かけちゃおう。当たって砕けろだ!」

(ルルルルルー、ルルルルルルー)

エリーが出た。
エリーは機嫌がよく、30分くらい話したあと今度の日曜日また、藤沢のスタバで会おうと約束した。
良は、電話を切ったあとひどく罪悪感を感じるのだった。

9.(Destiny)
悲しい結末

次の日曜日、良は朝7:00の横浜から藤沢に向かう電車に乗った。
藤沢まで22分。

8:00にエリーと藤沢駅のスタバで待ち合わせの約束だ。

スタバで、エリーは自分の5年間を簡単に説明した。
そして今、彼氏とうまくいってないと告げた。

良の男心がピクンと動いた。
しかし、咲への罪悪感で胸が痛む。

エリーは良を誘惑しようとして、必死に話しかけてくる。
まるで人が変わったように悩ましく、けだるく、訴えてくる。
その色気にあっけにとられていると、良の頭に天使と悪魔が降りてくる。

天使「(咲ちゃんのこと、どうするの? 彼女の方が好きなんでしょ?)」

悪魔「(良、お前今、このエリーとなら恋に落ちることができると思っただろう。)」

「(そんなことはない!)」

悪魔「(お前は、根が暗く本当は臆病で、スケベなんだ本当の自分を出せばいいだろ!)」

天使「(良、誘惑に乗っちゃだめ、咲が待っている!)」

「(うん。)」

悪魔「(エリーはお前を誘惑しているんだぞ! 乗らないと男がすたるってもんだろう!)」

「(うるさい!)」

悪魔「(エリーはお前のことが好きなんだぞ! 女の子に好きだと言わせて、お前、逃げるのか?)」

「(俺は、逃げてない!)」

天使「(悪魔のいうことなんて、聞いちゃダメ! その手に載っちゃダメ!)」

悪魔「(イクジなしなんだなぁ、お前は…………)」

「もういい、俺はエリーとは別れる。俺には咲が必要なんだ!」

はっと、気がつくとエリーに向かって言っていた。

「ごめん、エリー君の気持ちはありがたいけど、僕には咲がいる。好きなんだ、咲のことが……」

エリー「そうなんだ、わかったわ。悔しいわ。私のにもそう言ってくれる人がいたら……」

「君はもっと自分の周りを見るべきだ! エリーを愛してくれる人は、僕じゃない! 愛してくれる人が君の近くにいるのに君は気づかないだけだ!」

エリー「わかったわ、ありがとう。」

二人は1時間半くらい、おしゃべりしたあとスタバを出た。

10.(14番目の月)
プロポーズPart2.

数日後、日本大通りを足速に歩く良がいた。
会社の帰りに、日本大通りにあるcaféで咲と会う約束をしていたが仕事が立て込んでいて1時間遅れて咲の待つCaféへと急ぐのであった。

「ごめん、遅れて。」

「今日は、何?」

「咲、何回も言ってごめん。でも、どうしても咲と結婚したいんだ!」

「良、あなたはなぜ、私のことを愛していると言ってくれないの?」

「何だか、結婚してください、結婚してと言われると、泣きたくなる……グスン。」

「…………。うん、あい……。あっ……。愛している咲。咲のことを愛しているんだ!」

「どのくらい愛しているの?」

「うん、両手いっぱい!」

「それだけ?」

「地球を抱えるほど、いっぱい!」

「本当?」

「いやっ! 銀河系くらい!! 宇宙全体がいっぱいになるほど!! 咲、君のことを愛しているんだ! 結婚してください!」

「良、私を死ぬまで愛してくれる?」

「死ぬなんていうな! 咲を一生愛し続ける、地球が破滅したって、この世界が無くなったって、咲を愛し続けます。」

「うん、わかったわ良結婚して!! 私と!!」

急に、良がひざまづいて

「これ、受け取ってください!」

「指輪? でも、プラチナ台に載っているけど、米粒よりも小さい石? これ何?」

「ごめん、ダイヤなんだ、天然石、これしか買えなかった。」

「いくらしたの?」

「4万円!」

「うん、良が私にとっては4万円でもダイヤの指輪買ってくれたのがウレシイ!」

「今は買えないけど、何年かたったら何十万もするダイヤ買います。今はこれでガマンしてほしい。」

「いいの、私このダイヤでいい、良の気持ちがいっぱい詰まった小さいダイヤ。」

「死ぬ時は、このダイヤをつけて棺に入れて!」

「また死ぬなんて。」

「ありがとう、良!」

「咲、みんなが見てる。」

Café中の人たちが咲と良に注目していた。これから、何が始まるんだろう?と。

「咲、キスしていいかい?」

「えっ! みんな見てるよ!」

「咲、目をつぶって。」

「りょう。」

二人はキスをした。

二人を見ていた人たちから拍手が湧き起こって、おめでとうという声が聞こえた。
中には感極まって、泣いている女の子もいた。みんな幸せそうな顔をしている。
良は、勘定を済ませ、咲と手を繋ぎ横浜の夜の街へと姿を消していった。

エンディング(サーファーガール)ビーチボーイ

波が打ち寄せる、砂浜から少し離れた場所にエリーは座っていた。
麦わら帽子とワンピース、白いサンダルがよく似合う。
手を砂にうずめて砂を手に取りその砂を少しづつまた砂浜に帰す。
エリーは何か物憂げな仕草で海を見ている。
少したつと海から一人のサーファーが上がってきた。
エリーの横に立つと

エリー、今日は波がすごくいいよ!

そうね……

彼はサーフボードを置いてエリーの横に座った
二人はずっと、海を見ていた…………

The End

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