【才能関係なし】素人デザインを卒業する技術は妥協?
「素人っぽい」
「プロっぽい」
Webデザインの世界で頻繁に飛び交う言葉ですが、その境界線は驚くほど曖昧です。
Webサイトに掲載するメインビジュアルやバナーを作成している時、「もっとプロっぽく!」という抽象的な思いに頭を悩ませる経験、ありませんか?
オッサーにはあります。
おーはようございまーす!
神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所「ほまれの家横浜」Webチームのオッサーです。
実はこのオッサー。
- 20代の頃には劇団の制作としてポスター・チラシの制作にかかわり、イラストレーターや編集デザイナーをディレクション
- 20代後半から30代半ばまでは、出版社の編集として、編集デザイナーや漫画家をディレクション
する立場でした。
「一体どこを直せばプロの仕事になるのか…」
そんな悩みを抱えながら、途方に暮れている皆さん。
今回は、「プロ」と「素人」を分けるたった一つの要素・「妥協点」の見極め方について、数々のデザインを見てきたオッサーが、上から目線で解説します。
「プロ」は妥協ではなく「妥協点」を見極める達人
息を呑むほど美しいグラフィック。
完璧なまでに計算されたレイアウト。
見る人の心を揺さぶるようなタイポグラフィ。
ハッとするような、圧倒的なクオリティのデザインに出会うこと、ありますよね?
まるで熟練の職人が、一針一針丁寧に縫い上げた着物のように、デザインの細部まで、一切の妥協なく作り込まれているように見えるかもしれません。
しかし、プロのデザイナーは、全員、完璧主義者で、納期ギリギリまで微調整を繰り返す、妥協を知らない人たちなのでしょうか?
いいえ、決してそんなことはありません。
むしろ、プロは「妥協の達人」です。プロのダキョワーです。
予算10万円のデザインと、予算100万円のデザインでは、かけられる時間やリソースが全く異なります。
- 限られた時間と予算の中で最高の結果を出すためには、どの要素を優先し、どの要素を妥協するべきなのかを冷静に見極める必要があります。
- 限られた制作時間の中であれば、細部までこだわり抜いたイラストを1から制作するよりも、クオリティの高い有料素材を活用する方が、全体的な完成度を高められる場合があります。
- ターゲットユーザーがスマホ利用者中心であれば、PC版のデザインはシンプルにまとめ、スマホ版に注力する方が効果的です。
このように、プロは常に全体像を俯瞰し、「目的達成のために最も効果的な方法」を冷静に判断し、限られたリソースを最大限に活用しています。
デザインを「プロ」レベルに引き上げる7つのポイント
では、具体的に「妥協点」を見極めるとは、どういうことでしょうか?
以下の7つのチェックポイントを参考に、自分のデザインを客観的に見つめ直してみましょう。
競合や参考デザインのリサーチを徹底的にできたか?
「素敵なカフェのチラシを作りたい!」
そう思った時、あなたはどんな行動を取りますか?
Canvaを開いて、おしゃれなテンプレートを探すのも良いでしょう。
しかし、プロのデザイナーは、まず徹底的なリサーチを行います。
ターゲットとする顧客層に人気のあるカフェのWebサイトやチラシを分析し、デザインのトレンド、使用されているフォントや配色などを徹底的に調べ上げます。
そして、良い点だけでなく、改善点も見つけることで、より効果的なデザインのヒントを得ているのです。
文字間隔はその0.1ミリまで考え抜いたか?
「文字詰め」という概念を知っていますか?
文字間隔は、デザインの印象を大きく左右する要素の一つです。
文字が詰まりすぎていれば読みにくくなり、間延びしすぎていると、間が抜けた印象を与えてしまいます。
プロは、文字の大きさ、行間、そして文章全体とのバランスを考えながら、0.1ミリ単位で文字間隔を調整し、読みやすさと美しさを両立させているのです。
フォントは本当にそれでいいのか?
オッサーお得意のダジャレではありません。
フォントは、デザインの雰囲気を決定する重要な要素の一つです。
例えば、高級ブランドのロゴに、ポップでカジュアルな印象を与えるフォントが使われていたら、違和感を感じますよね?
プロは、フォントの持つイメージと、クライアントが表現したいイメージを一致させるために、膨大なフォントの中から最適なものを選び抜きます。
また、複数のフォントを組み合わせる場合も、全体の調和を崩さないよう、慎重に選定を行います。
色味や素材に統一感はあるか?
色使いは、デザインを見た人の感情に直接訴えかける力を持っています。
例えば、赤は興奮や情熱を、青は冷静や信頼を連想させます。
プロは、色の持つ心理的効果を理解した上で、クライアントのブランドイメージや、伝えたいメッセージに最適な配色を施します。
また、写真やイラストなどの素材も、テイストを統一することで、デザイン全体にまとまりが生まれます。
余白は綺麗に調整できたか?
「余白」と聞くと、無駄なスペースだと感じるかもしれません。
しかし、デザインにおいて余白は、情報の整理、視線誘導、そして洗練された印象を与えるなど、重要な役割を担っています。
プロは、余白を効果的に使うことで、読みやすく、かつ美しいデザインを生み出しています。
クライアントの意図を汲み取れているか?
クライアントの要望を、単なる指示として捉えていませんか?
クライアント自身も、本当に求めているものを明確に言語化できていない場合がよくあります。
プロでありたいと願うならば、クライアントとのコミュニケーションを通して、言葉の奥に隠された真の意図を理解しようと努めましょう。
そして、目的を達成するために、
デザインでどのように貢献できるか
を常に考えながら、制作を進めていきましょう。
「これが今のベストだ」と胸を張って言えますか?
納期や予算の都合で、クオリティを妥協せざるを得ない場合もあるでしょう。
しかし、プロはどんな状況下でも、「今できる最高のパフォーマンス」 を常に追求します。
そして、「全力を尽くした」と自信を持って言える作品をクライアントに納品することで、信頼関係を築いていくのです。
あなたのそのデザイン、本当に「今できる最高のパフォーマンス」 ですか?
プロの条件は、クライアントの期待値を3段階で超えること
そして、プロとしてもう一つ、忘れてはならないことがあります。それは、クライアントの期待を常に超えるという意識を持つことです。
クライアントの期待値を
- レベル1:期待通り
- レベル2:期待以上
- レベル3:期待を遥かに超える
の3段階で表現するとすると、プロは常に「レベル3」を目指します。
そのためには、クライアントの要望を表面的に捉えるのではなく、クライアント自身も気づいていない課題やニーズを積極的に引き出し、デザインで解決する提案を行うことが重要になります。
例えば、クライアントから
「会社のWebサイトをリニューアルしたい。今風のおしゃれなデザインにしてほしい」
という要望があったとします。
この時、ただ単にデザイントレンドを取り入れただけのWebサイトを作っても、「レベル1:期待通り」にしかなりません。
クライアントのビジネスについて深くヒアリングし、競合他社のWebサイトを徹底的に分析することで、「ターゲット顧客層に響くWebサイトのデザイン」を提案し、コンバージョン率向上などの具体的な成果に繋げることが「レベル2:期待以上」です。
さらに、「レベル3:期待を遥かに超える」ためには、Webサイトのデザインだけでなく、SEO対策やSNSマーケティングなどの多角的な視点から提案を行うことも考えられます。
プロになるための近道
「プロ」と「素人」を分けるのは、決して才能やセンスだけではありません。
「妥協点」を見極め、常に最高のクオリティを追求すること、そして、クライアントの期待を超える成果を出すこと。
この2つを常に意識することで、あなたも「プロ」のデザイナーに近づくはずです。
さあ、今日からあなたも「妥協点」を見極める達人になり、クライアントを感動させるような、素晴らしいデザインを生み出していきましょう。
以上、数々のデザインを見てきたオッサーによる、上から目線解説でした!
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※このブログは、神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所「ほまれの家横浜」のオッサーが執筆しました