令和の楽曲に鳴り響く平成のコード進行

おーはようございまーす!
神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所「ほまれの家横浜」Webチームのオッサーです。

実はこのオッサー、最近は資格取得(国家試験)に取り組んでいて、その際に、ちょいちょい休憩でYoutubeで音楽を聴いたりしていました。

その際に、とある言葉に出会います。

その言葉とは、「丸サ進行」

「丸サ」と言っても、宮本信子が、国税局査察部(通称マル査)に勤務する女性査察官として大活躍する映画じゃないですよ?

宮本信子の夫である伊丹十三が、監督・脚本を手掛けた映画のことじゃないですよ?

そうではなくて、この令和の時代において、音楽づくりを志す者にとっては避けては通れないと言っても過言ではないのが、「丸サ進行」なんだそうです。

ここでいう「丸サ」とは、椎名林檎の楽曲の「丸ノ内サディスティック」を略したもの。

とりあえず聞いてみましょうか。

【参考】Marunouchi Sadistic

陰と陽が回転し続ける楽曲たち

この「丸ノ内サディスティック」は、1999年に発表されたアルバム「無罪モラトリアム」の収録曲。

使われている「丸サ進行」は、元々は「Just the Two of Us進行」と呼ばれている有名なコード進行のことらしいです。

この大元になっている「Just the Two of Us」は、1980年に発表。
グローヴァー・ワシントン・ジュニア&ビル・ウィザーズの楽曲で、邦題は「クリスタルの恋人たち」。
グラミー賞R&B部門を受賞している曲でもあります。

【参考】Just the Two of Us (feat. Bill Withers)

昭和の時代のおしゃれな感じがひしひしと伝わってきますよね。

ナウでヤングでトレンディーな皆さまが、夜な夜なカフェバーなんておしゃれスポットに通った時代に、きっとカフェバーで流れていたに違いないようなジャズ・フュージョン。

その頃は、オッサーがまだ小学生くらいの時代なので、あくまでも想像ですが。

で、この「Just the Two of Us進行」ですが、具体的には

D♭maj7 ➡ C7 ➡ Fm7 ➡ E♭m7 ➡ A♭7

と進んでいくコード進行のこと。

D♭maj7は明るい印象の響きですが、C7でちょっと切なくなるような響きで転調して、Fm7で少し暗い雰囲気になって、E♭m7、A♭7で明るい雰囲気に戻って来る。

陰があるから陽が際立ち、陽があるから陰が際立つ。

そんな構造が回転していくことで、哀愁みたいなものを聴いている者に感じさせ、音楽づくりをする人は、ついリフレインしたくなる。

それが「Just the Two of Us進行」であり、このコード進行のキーを変えたものが「丸サ進行」とのことです。

この陰と陽が溶けあい、混ざり合い、浮遊感の中を漂いながら、それぞれがそれぞれをスパイシーに響かせる。
これって特に根拠のないオッサーなんとなくの感想ですが、日本人が持つ精神のありようと親和性が高いのかな……とも思います。

なお、オッサーは、本当に音楽に詳しくないので、以下の記事や動画を参考にしてここまでこの記事を書いています。

実際にどんなコード進行なのか、実際の音を聞いてみたい皆さんは、こちらの記事や動画を参照してみて下さい。

【参考】
J-POPを席巻する「Just The Two of Us」コード進行を読み解く
J-POPを席巻する「Just The Two of Us」コード進行を読み解く|ニッポンドットコム横山裕章インタビュー

「丸ノ内サディスティック」以前はどうだった?

「Just the Two of Us」が発表されてから約10年。

日本国内では、R&Bフィーリングの曲やソウルフィーリングの曲が台頭してきて、そんな雰囲気を曲の中に出すためなのか、「Just the Two of Us進行」の曲がたくさん作曲され、ヒットしていきます。

例えば、

  • 「決戦は金曜日」DREAMS COME TRUE(1992年)
  • 「接吻-kiss-」ORIGINAL LOVE(1993年)
  • 「今夜はブギー・バック」小沢健二 featuring スチャダラパー(1994年)
  • 「つつみ込むように…」MISIA(1998年)

海外でも、例えばJamiroquaiは、「Virtual Insanity」(1996年)で、このコード進行を採用してます。

Jamiroquaiはこれらの曲で、R&Bフィーリングやソウルフィーリングを復興させた、異彩を放っていたミュージシャンでもあります。

【参考】Jamiroquai - Virtual Insanity (Official Video)

これらの楽曲に共通しているのは、少しブラックコンテンポラリーな雰囲気を醸し出して、ちょっとジャズっぽくておしゃれで大人っぽい雰囲気。

そういう雰囲気を曲の基調とするために、数々のミュージシャンは、このコード進行を採用していたのではないかなと、オッサーは思うわけです。

そんな中、1998年。
この曲が世間に発表されます。

【参考】宇多田ヒカル - Automatic

この曲では「It's automatic」という強烈なパンチラインのところで、このコード進行が使われています。

この時代、曲の中からR&Bフィーリング的な何かを私たちが感じ取っていた時、恐らくほとんどの曲にはこのコード進行が使われていたのではないかなと感じています。

そして時期を前後して、椎名林檎が「丸ノ内サディスティック」を発表。

なお、今回はコード進行のことを書きましたが、今でも「丸ノ内サディスティック」が愛されているのは、コード進行だけでなく、作詞された言葉とアダルトなテイストの絶妙な調和とか、色々な理由があるのかなと、オッサーは思っています。

丸サ進行は令和の楽曲でも

90年代後半を席巻した上記のコード進行は、その後も活用されていきます。

例えば、

  • 「花火」aiko(1999年)
  • 「A Perfect Sky」BONNIE PINK(2006年)
  • 「ハッピーエンド」back number(2016年)

あたりは有名な曲ではないでしょうか。

この流れは平成の時代のものだけではなく、令和になっても続いて行きます。

  • 「Pretender」Official髭男dism(2019年)
  • 「I LOVE…」Official髭男dism(2020年)
  • 「夜に駆ける」YOASOBI(2020年)
  • 「うっせぇわ」Ado(2020年)

あまり心に音楽が流れていないオッサーでも、聞いたことがある曲ばかりです。

今回は、かなりマニアックなお話になりましたが、こんな世界もあるんだなと思って読んで頂けたら幸いです。

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※このブログは、神奈川県横浜市にある就労継続支援A型事業所ほまれの家横浜」のオッサーが執筆しました